翌朝、空は快晴。温泉に入って遅めの朝食をいただき、チェックアウト後すぐに山へと向かった。ちなみにこのホテルの温泉風呂は五つ星級で、部屋も広めの和洋室で快適だ。
岩ン沢上流部。堰堤で止められた水が蒼く深い。堰堤の先にしのぶんが座って手を振っている。
野原に山菜を採っているご婦人がいた。私たちもキノメとアザミとタラノメを採った。
荒沢山と足拍子岳。
大源太山。
これが四十八滝。深い渓谷を強烈な勢いで水が流れ落ちていた。
湖畔沿いのレストランで遅めのランチ。大自然に囲まれて美味しいものを食べコーヒーを飲む。極上のひととき。
食事のあと芝倉沢で竿を出したら巻き返しからイワナが出た。しかし雪解け水と雪渓で川沿いの遡行は無理。
大源太川と芝倉沢の間にゴルフ場があるので、下流にある一見綺麗な湖も、農薬で汚染されているのだろう。
四十八滝は山本素石の本に登場する。
山本素石の本4 完本・逃げろツチノコ
「ツチノコ詐欺師現わる」
「ツチノコ詐欺師現わる」の一遍は、話を公開するのは恥ずかしいとしながらも、素石がどれほどツチノコに打ち込んできたかということの証として最後に披露したものだ。これまでどんな美人の誘惑や金儲けの誘いがあっても、見向きもしなかったという素石が、ツチノコ故に大損害を被った話としてある。話の筋はこんな感じだ。
******
ある日、ツチノコを捕まえたので見てくれと素石の前に男が現れる。名は河合文雄、自称ビルマ特攻隊の生き残りで、立って歩けぬ不自由な体をしている。生まれは新潟県南魚沼郡湯沢町という。怪しんだ素石は、越後湯沢の地図を広げて、郷里はこの地図のどこか、ツチノコが捕れたのはどこか尋ねる。国土地理院の5万分の1の図を前にして河合は、立石に水を流すような調子で、郷里の地形や生まれた在所、附近のスキー場から山の位置、高さ、登路の難易まで克明に解説する。
「私の持山はここからこの尾根までです。白樺は育ちませんがね、ミズナラやダケカンバ、それにカラマツが主で、あまり経済価値がないんです。ここに大源太山というのがありますね、魚野川の源流の一部がここから出ているのです。この沢はこの辺でも一番きついところでしてね(その通りだ)、滝が大小合わせて四八あります。うちの田舎じゃあ四八滝といって有名なんです。ツチノコはその沢筋にいるのですよ。一ノ滝から六ノ滝までの間が棲息地で、そこから奥には一匹もいません。・・・。」
*****
この続きはぜひ本でお楽しみいただけたらと思う。ツチノコ詐欺に一杯くわされた素石はそのとき何を思ったのか。最後に明かされる素石の偽らざる心境が、素石の生き様と男のロマンを如実に物語っている。

